2015年10月30日金曜日

ワッショイ!油彩祭(1)教えて舩岳先生!

こんにちは。i-BOXです。

11月の毎週金曜日は特集ワッショイ!油彩祭と致しまして、美術文化専攻油彩画研究室に密着します!フライングスタートの本日は、現在i-BOXにて個展を開催中の舩岳紘行先生にお話しを伺いました。美術棟へお邪魔してみると、先生は11月5日よりHUGにてはじまる個展のための額づくりの真っ最中。こうやってひとつひとつ絵に合ったものを作られるんですね~。

 さて、油彩特集第1弾となる今回は、i-BOXでの個展の中でお客様の抱いた疑問や感想について、先生の制作への思いについてお答えいただきたいと思います!

舩岳先生の”不思議な世界”についてお聞きしました~!


―今回、i-BOXの個展で先生の作品を観てまず、お客様の声で多く聞かれるのは『不思議な世界』。先生は普段どんなことを考えながら作品制作に向かっているのでしょうか?


「一番にあるのは、自分の感覚に素直に描くということだね。自分が受けた感覚を正しく伝達したいと考えています。絵に描かれている感覚は、普段の生活の中で感じたことです。ただ、見えたものをそのままに描くだけでは伝わらない部分があって、得た感覚をあるモチーフに例えたり、置き換えることでうまく伝わるんじゃないかと考えています。あとは、キャッチ―だけど絵としてきちんと鑑賞できる、ポップだけど古典的といった絵としての調和とイメージの対比があるようには意識しています。」


―現在展示中の作品「白樺の森」について地面に描かれているヘビのような、根っこのようなものが気になる』 というお声がありました。


「それは嬉しい気づきだなぁ。これは特に大きな絵を描くときに考えることなんだけど、1つの画面の中に“大きな声と小さな声があるようにしたいと考えています。この絵に関していうと、白樺の目や女性に手をとられて頭が伸びている人が大きな声、対して地面を這うヘビや木の間を飛ぶクマゲラなどは小さな声。
ぱっと絵をみたときに、まず聞こえるのは大きな声の方なんだけど、じっくりみてもらいながら徐々に発見するみたいに小さな声まで聞いてもらって、その絵が鑑賞者のものになっていくといいなと思います。そうしてその作品に入り込んで自由に想像をふくらませてほしいですね。」


―また、大きな声とされる頭の伸びているひとや今回展示されている7点の作品の色がきれい!ピンクが印象的とのお声もありました。確かに、多くの作品にピンク色が使われていますが、なにか思い入れのある色なのでしょうか?


ピンクかわいいなって。 (笑)娘が今とてもピンク色にはまっていて持ち物全部ピンク色みたいな。そういう風な感覚的なものではあるのだけど、僕の作品のイメージが結構突飛なので、かわいい色で和らげようとしているところもあるかな…。
あとは発色のよさに惹かれています。また、頭の伸びている人に関しては、今回の展覧会のタイトルにもなっている“のびる山”が山になる前のアイデアスケッチのひとつです。作品を描くにあたっては、絵全体のものや部分的なものまでたくさんのアイデアスケッチがあって、時には、その絵を描くためのスケッチではなく、それ以前に描かれたものが、今の絵の世界にしっくりくるなと思って登場することもよくあります。」



―お話をきいて、先生の作品には1つの作品の中に死生観といった少し重たいテーマや表現としてかっちりと考え込まれた部分と、これはしっくりくるなやピンクはかわいいといった感覚的に決定される部分がさまざまに同居しているのだなという印象がありました。そういった対比が不思議な世界観を生み出しているのでは…!?


お話の中に登場した「白樺の森」のあるi-BOXでの展示は11月23日までです。HUGでの展示は11月5日~29日まで。間もなくはじまりますよー!先生の思考と感覚の世界をぜひ、お見逃しなく!