こんにちは。i-BOXです。
4月29日より開催していた彫塑研究室指導教員の山内祈信先生による作品展「空気になる日」は明日で終了です。そういえば、「空気になる日」とはいったいなんだったのでしょうか。山内先生によるメッセージをご紹介します。
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地震、疫病の蔓延、戦争などが毎日怒涛のように押し寄せており、絶えず何かに緊張した状態が続いている状況で、絶えず考え続けることは疲れるため、権威者、有識者、何となく賢そうな人に寄りかかりたい気持ちや、多くの人が正しいと思っているような集団に同化したい気持ちが誰にでもあると思います。
空気を読むという言葉がありますが、私は人がそのような気持ちになる現象を「空気化する」や「空気になる」と呼んでいます。空気になるとは、人が主体性をなくして集団に埋没、画一化し、自分で考えることなく他人に寄りかかり風景のような存在になることです。
この展示では、人が空気になる発端を幼稚園や保育園の壁面飾りと桜の形の評価印にスポットを当て制作しました。壁面飾りは、人が初めて集団と接触する幼稚園や保育園の室内の壁面を、色画用紙などを用いてかわいらしい動物などで飾り立てる日本の慣習です。
桜の形の評価印は、「たいへんよくできました」という文言に代表される、教員によって宿題プリントなどに押印されるスタンプのことです。評価印を押されたプリントを見て児童や生徒は一喜一憂します。教師の評価印を押す力は、無自覚のうちに子どもたちを変形させているのかもしれません。
2020年3月、私は豪雪地帯である岩見沢に住み始め、その冬初めて巨大な雪の塊に対峙した際、雪の存在や重さに圧倒されました。その一方で、雪解けの季節には今までの圧迫から解放された爽快な自由も感じました。集団において人は空気になりがちで、私もそうですが、自分の空気になる日を見つめることは、雪解けの季節のような自由を謳歌するためのヒントとなる気がします。
(一部省略)
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i-BOXのあちこちにいた、かわいいうさぎさんやくまさんたち。
「かわいい!」とは言ってみたものの、作品に近づいていくにつれ違和感を感じてしまったお客様の姿を多く見受けました。また、山内先生からのメッセージには、教育に携わってこられた方からのご意見・ご感想を多く賜っております。この場をお借りして本展をご覧頂いた皆様に御礼申し上げます。
展覧会は明日15時で終了です。まだ見てない!やっぱり気になる!という方はJR岩見沢複合駅舎2階の北海道教育大学岩見沢校i-BOXまで是非足をお運びくださいね。