こんにちは。i-BOXです。
昨日よりこちらのページでは、事前に市民の皆さまからお寄せいただいた質問に対し、現在i-BOXで展覧会を開催中の舩岳紘行先生がお答えする、「教えて舩岳先生!」を連載中です。2日目の本日は、メディア関係の皆さまが口々にする、あの質問です。
昨日よりこちらのページでは、事前に市民の皆さまからお寄せいただいた質問に対し、現在i-BOXで展覧会を開催中の舩岳紘行先生がお答えする、「教えて舩岳先生!」を連載中です。2日目の本日は、メディア関係の皆さまが口々にする、あの質問です。
みんながそれぞれ個性を持っている!
Q.《鶏が先か、卵が先か》
舩岳先生のところの学生さんは、みんな個性がとがってる。個性がすごい子が集まってくるんですか?それとも、先生のところに来たからすごくなっちゃったんですか?
A.《誰もが皆、面白い個性を持っている》
私の研究室に入ってくる学生に限らず、もともとみんな面白い個性を持っているんですよね。でも残念ながらそれを発揮できる人とできない人に分かれてしまいます。その要因はいくつか考えられますが、「ありのままの自分を受け入れることができるかどうか」が1つの大きな分かれ道になっていると思います。そして、一見短所と思われがちなところにこそ個性を発揮するために大切な要素が潜んでいることが多いように感じます。
例えば、今年大学院を修了した三村紗瑛子さんは、油彩画研究室に所属したばかりの頃、弱々しい画面を周囲から否定されることも多く、本人もそれを肯定できずにいました。しかし、その一見短所と捉えてしまいそうな特性を逆手に取り、モチーフはより小さく、トーンのコントラストもより小さくと作品を展開させていき、独自の絵画スタイルを固めていきました。
細かい欠点を全て直したり、人の意見を取り込み過ぎたりすると美術作品はどんどん「普通」になっていきます。人間と同じですよね(笑)。ですので、細かい欠点をすべて指摘するようなことはせず、その学生が持つ魅力を逃さないように制作の様子をじっくり観察するよう心がけています。今の学生たちの様子を見ているとSNSの浸透などもあり、集団から浮かないように必死でなかなか苦しそうですが、美術の世界では、自分の感覚を自由に開放してもらいたいと思っています。長所と短所は表裏一体、短所を含めた自分を受け入れることができたとき、かけがえのない魅力的な表現が生まれるのだと思います。
また、北海道は個人を掘り下げるには持ってこいの環境だとつくづく実感しています。私は関東で大学時代を過ごしましたが、求めなくても次々にいろんな情報が入ってきて、随分と表現の誘惑に惑わされてしまいました。迷う過程で身に付けた力がその後の作品展開に役立ったりもするのですが、成功体験もなく制作を続けていくにはまた別の能力が必要になってきます。その点、若い時の私に比べると学生たちは、自身の感性や特性と向き合いながら、流行りに惑わされることなく自分に必要なものを取り込んでいると思いますね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨日、今回話題に上がった三村紗瑛子さんが本展と「油展」のために、青森県から駆けつけてくれました。現在は二紀会に所属し、青森県でお仕事をしながら制作に励んでいるそうです。現在発売中の「月間美術11月号」では、新進気鋭の作家として大きく紹介されていますので、是非お近くの書店でご覧になってみてくださいね!(つづく)
舩岳先生のところの学生さんは、みんな個性がとがってる。個性がすごい子が集まってくるんですか?それとも、先生のところに来たからすごくなっちゃったんですか?
A.《誰もが皆、面白い個性を持っている》
私の研究室に入ってくる学生に限らず、もともとみんな面白い個性を持っているんですよね。でも残念ながらそれを発揮できる人とできない人に分かれてしまいます。その要因はいくつか考えられますが、「ありのままの自分を受け入れることができるかどうか」が1つの大きな分かれ道になっていると思います。そして、一見短所と思われがちなところにこそ個性を発揮するために大切な要素が潜んでいることが多いように感じます。
例えば、今年大学院を修了した三村紗瑛子さんは、油彩画研究室に所属したばかりの頃、弱々しい画面を周囲から否定されることも多く、本人もそれを肯定できずにいました。しかし、その一見短所と捉えてしまいそうな特性を逆手に取り、モチーフはより小さく、トーンのコントラストもより小さくと作品を展開させていき、独自の絵画スタイルを固めていきました。
細かい欠点を全て直したり、人の意見を取り込み過ぎたりすると美術作品はどんどん「普通」になっていきます。人間と同じですよね(笑)。ですので、細かい欠点をすべて指摘するようなことはせず、その学生が持つ魅力を逃さないように制作の様子をじっくり観察するよう心がけています。今の学生たちの様子を見ているとSNSの浸透などもあり、集団から浮かないように必死でなかなか苦しそうですが、美術の世界では、自分の感覚を自由に開放してもらいたいと思っています。長所と短所は表裏一体、短所を含めた自分を受け入れることができたとき、かけがえのない魅力的な表現が生まれるのだと思います。
また、北海道は個人を掘り下げるには持ってこいの環境だとつくづく実感しています。私は関東で大学時代を過ごしましたが、求めなくても次々にいろんな情報が入ってきて、随分と表現の誘惑に惑わされてしまいました。迷う過程で身に付けた力がその後の作品展開に役立ったりもするのですが、成功体験もなく制作を続けていくにはまた別の能力が必要になってきます。その点、若い時の私に比べると学生たちは、自身の感性や特性と向き合いながら、流行りに惑わされることなく自分に必要なものを取り込んでいると思いますね。
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昨日、今回話題に上がった三村紗瑛子さんが本展と「油展」のために、青森県から駆けつけてくれました。現在は二紀会に所属し、青森県でお仕事をしながら制作に励んでいるそうです。現在発売中の「月間美術11月号」では、新進気鋭の作家として大きく紹介されていますので、是非お近くの書店でご覧になってみてくださいね!(つづく)