2015年7月20日月曜日

書画工芸展④~日本画の巻

こんにちは。i-BOXです。


本日は「日本画」をご紹介!


今月の月曜日は書画工芸展特集!第4回目となる今回は、代表として本展の運営をしている日本画研究室院2年生の佐藤佳奈子さんにお話しを伺いました。


日本画の部屋にお邪魔すると大小の絵が床に広がっていました。日本画は、ほかの絵画と違って絵を床に広げて描くのですね~!














佐藤さんが語る、「素材と向き合うことの大切さ」


― 現在、佐藤さんが出品されている展覧会「涼月展」を拝見しました。そこで、出品されていた3作品中2つが「屏風」作品でしたが、なにか思い入れがあるのですか?

まず、全てを自分で作りたいという思いがあります。屏風の骨組みからつくって絵を描く紙を貼る。その一つ一つの工程をやって、はじめて自分でつくったものになったという感覚があります。また、額装展示にくらべて裏表がなく、立体作品のようにどこからも観られるというところに魅力を感じています。屏風は可動式の壁画ともいわれており、昔は風除けやついたてとして使われていました。そういった面から展示される絵と比べるとより身近に絵を感じることができるのではないかと思っています。



― 日本画と呼ばれるものの中でも、現在は様々な画材が使われていたり、古典作品から想像されるようなものとは違った日本画があると思います。日本画とはなにをもってして日本画と呼ばれるのでしょうか…?

私はどんなイメージを持つ画面であっても、描いた本人が日本画であるという思いをもっていたのであれば、それは日本画なのではと思っています。また、日本画という呼称も明治期に西洋画が日本に入ってきたことで区別するためにつけられたものです。一般に日本画の描画材と考えられている岩絵の具や和紙、膠(にかわ)などを使っていること、それが日本画となるというわけではないと考えています。
自分が日本画の理想として思うのは「素材に合わせて、素材をのせる。素材のよさを活かした描き方ができること」です。
画材の使い方などを学ぶとき、先人たちは本当に素材のよさや特性というものを理解しているのだと感じます。絵の具の使い方ひとつをとっても、銀箔には墨、金箔には丹具(たんぐ)を下地に…というように、それぞれの素材の美しさが引き立ちあうような工夫がなされています。



― なるほど…!それでは、佐藤さんはその理想に向けて現在はどんな制作をされていますか?

現在、素材表現としては、絵の具を使う前段階をしっかり使えないとせっかくきれいな絵の具をきれいに使ってあげられないという思いがあり、墨のみでモチーフの質感や画面全体の雰囲気をどれだけ表現できるかを模索しています。
制作テーマとしては、季節感や四季といった-対・つながりのあるものを動植物によって表現することを考えて制作しています。また日々の生活に寄り添ったものをつくりたいと思いがあります。しかし現段階ではなかなか絵画作品の域を出ないという葛藤もあり、今後は皿の絵付けなど、より生活に密着した作品づくりにも興味があります。





モチーフの描くことだけでなく、素材のよさをも絵の魅力としていくことを考えながら制作されているのですね。
展示についてお話を聞くと、書画工芸展では作品の展示の他にも、各研究室の先生方が会場で直接進路相談をしてくれるコーナーもあるとのこと。書画工芸コースに興味のある受験生のみなさんは特に必見ですよー!
そして、来週会期直前、最後の書画工芸特集では「染織」研究室にお邪魔します。おたのしみに!